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shwaReview Autumn 2006
06.11.8 up
シュワレビュー2006 晩秋の5本 ライト×ディープシュワリスタ、浸る、語る
編集部がセレクトした晩秋に合うであろうシャンパーニュ5本を、ディープ代表とライト代表がそれぞれの視点でレビューするこの企画。最初から名前がわかってしまうと面白くないので、今回はあえてブラインドで。
ぜひ、シャンパーニュ選びの参考にしてください。
ディープ代表レビュアー
前田行紀
シュワリスタ・ラウンジで辛口シャンパーニュコラム『前田エクストラブリュット』、シャンパーニュ・アーカイヴのデータ作成を担当。豊富な知識と旺盛な探究心。「シャンパーニュの求道者」の異名も。
ライト代表レビュアー
雪月さらささん
実はワインに造詣が深く、ワイン専門誌でレビューを担当するほど。しかしシャンパーニュは最近はまったばかり。女性ならではの視点でシャンパーニュを軽やかに楽しんでいる。
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Review1 一般的なぶどう品種とは違う味わい。日本では入手困難なカルトシャンパーニュ?
前田 : 何か凄いシャープだな、これ。ただでも…何かちょっと足りない感じはする。何て言うかな。あまりにきれいすぎるシャープさというか。でも香りとは裏腹に、飲んでみると、フレッシュさの中に割とこう一定した軸がある感も。
雪月 : 私は香りが甘い感じがします。リンゴの蜜みたいな香り。ちょっと子供向けなのかしら? あ、でも飲んでいくと苦味がありますね。口の中に少し残ります。
前田 : ちょっと面白い味。凄い気になる。多分あの…違う系のブドウのような気がするんですよね。一般的なぶどう品種じゃないでしょ。これ何なの?(笑)
雪月 : お魚食べたくなりますね、これ(笑)。秋刀魚をオリーブオイルで焼いてちょっと香草を乗せた感じとか。少しバジルソースとか入っていてもいいかもしれない。
前田 : 僕も同じことを考えていて。実は秋刀魚の刺身とかいいかなとね。
雪月 : いいですね! ちょっとしょうがを多め…。それを想像して飲むと、美味しい(笑)。
Answer LAMIABLE Brut Cuvee d'Antan“Pur Petit Meslier”2002 ラミアブル ブリュット・キュヴェ・ダンタン“ピュール・プティ・メリエ”2002
ラミアブル ブリュット・キュヴェ・ダンタン“ピュール・プティ・メリエ”2002
古典品種であるプティ・メリエを100%使用。RMの中でも日本では手に入りにくい1本
参考実売価格 5,900円
前田 : ラミアブルのキュヴェ・ダンタンか。マニアックなのがでてきたなあ。消費の90%はフランス国内で、日本にはなかなか入ってこない。
雪月 : へぇ〜。ところでブドウは何ですか?品種で困っていらっしゃったから。
編集 : プティ・メリエです。
雪月 : えぇっ、プティ・メリエって聞いたことないですね。シャンパーニュの基本って、シャルドネ、ピノ・ノワール、それからピノ・ムニエですよね?
前田 : これはシャンパーニュの古代種なんです。最近、そういう昔の品種を復活させて作っているところがいくつかあるんですね。そのうちのひとつがこれですね。他に、アルバンヌとアンフュメとフロモントというのがあります。
プティ・メリエって基本的に白ブドウなんですよね。つまり、それで作っているからこれは一種のブラン・ド・ブランです。だからか。爽やかだと思ったのは。
Review2 マロラティック発酵系のスウィーティーな力強さ。きのこたっぷりのすき焼きはいかが?
前田 : 泡は非常に細かい。
雪月 : 香りはブリオシュですね。甘い香りもする。
前田 : リンゴを煮た時とかこういう香りがする。1のラミアブルに比べるとちょっと蜜が入ったリンゴ。割としっかり甘味の香りが立ってくる。飲んでみよう。あぁ、凄い! 非常にいい。
雪月 : 美味しい、これ!
前田 : 何て言うかな…マロラクティック発酵系。
雪月 : マロラクティック発酵というと?
前田 : 単純に言えば、ワインなどにはリンゴ酸があって、これが転換して乳酸に変わることをいいます。酸味がおだやかになってまろやかな味わいになる。
昔からのシャンパーニュ作りは基本的にはそういう発酵はしてなかったんですが、最近は飲み口のいいシャンパーニュを人々が好む傾向にあるので、最近のシャンパーニュはほぼマロラクティック発酵系。これは非常にそれが効いた感じがします。
一方で有名な銘柄の中でも、『クリュグ』などは昔ながらの製法というかマロラクティック発酵は行ってないんです。
雪月 : へぇ〜。
前田 : でも果実のパワーもありますね。力強いですね、非常に。いい意味で香りと味わった時のギャップが面白い。
雪月 : 最初はリンゴパンのような感じかなと思ったんですけど、だんだんだんだん力強さが前面に出てきて…。すき焼き食べたいです(笑)。きのこいっぱい入れて。
前田 : 肉料理とか出てきても負けないでしょうね。これぐらいのパワーがあれば。
Answer TARLANT“La Vigne d'Or”Blanc de Meuniers Extra Brut 1999 タルラン“ラ・ヴィーニュ・ドール”ブラン・ド・ムニエ・エクストラ・ブリュット 1999
12代続くRMの造り手が送り出すこちらもリリース数の少ない稀少銘柄。ピノ・ムニエ100%
参考実売価格 8,800円
編集 : こちらはRMの造り手、タルランのブラン・ド・ムニエ。ピノ・ムニエ100%です。
雪月 : 何か私のイメージだとピノ・ムニエって補助品種的なイメージが凄くあるんですけど、出来が良かったから作った訳ですか?
前田 : ピノ・ノワールより早いうちから熟成感が出たりってするのがピノ・ムニエの方が来るんですよ。
雪月: じゃあこれからピノ・ムニエ100%とかがいっぱい出てきてもおかしくないってことですか?
前田 : うーん、ただやっぱりシャンパーニュっていうイメージは、エレガントで高級。そうするとピノ・ムニエが多分あんまり適さないっていうか。だからあんまり取り上げられていないんですね。ピノ・ノワール系オンリーに比べると少し何というか…優等生でまとまった感じじゃなくて暴れん坊的な個性かな。
造っているところ結構少ないんですよ。やっぱりRMですね、ほとんど。600メゾンぐらい調べてるんですが、10もあるかなって感じぐらい。
雪月 : へぇ〜。知らなかったです。私ムニエの100%って初めて飲みましたけど、凄いハッピーですね。それに今日飲んだ感じだと凄くエレガントな感じもしましたよ。私は好きだな。
Review3 濃厚なデートよりも元気にピクニック。明るく爽やか、そして快活!
雪月 : これって香り少し弱いですね。
前田 : 本当だ。弱いね。最初凄い泡が繊細に出ていたけど。確かに香りが弱いんで非常に感じにくい。
雪月 : でも、2のタルランが夜、ホカホカしながら食べて飲んで、という感じなら、これは午後の美術館とかそういうところでちょっとしたサンドイッチやケーキだとかと一緒にっていう魅力がありません?
前田 : なるほど! 私はローストビーフのサンドイッチを持って、公園でこれと一緒に食べたいなぁって。
雪月 : 紅葉見ながら…、風流ですね、何か(微笑)。
前田 : まあ、やっぱり2のタルランに比べるとパンチには欠けますけどね。でも、これはありかたとしてはいい。
雪月 : どちらかっていうと普段飲みなイメージかもしれませんね。
前田 : 皆さんが想像する一番一般的なシャンパーニュに近い味じゃないかなって気がします。
雪月 : 濃厚なデートっていうよりも、元気にピクニックっていう。
Answer LENOBLE Brut Intense ルノーブル ブリュット・アンタンス
セラーで最低2年半の熟成後出荷。シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ。
参考実売価格 3,800円
前田 : こちらルノーブルのブリュット・アンタンスを用意しました。軽やかな秋をテーマに。外で飲みたいというコメント…狙い通りでした(笑)。
雪月 : アンタンスってどういう意味ですか?
編集 : 力強いっていう意味です。ルノーブルはどっちかっていうとシャルドネが得意なんですよ。ただその中で今回は力強くっていうんでピノ系を中心に配合している。それで、まぁ力強いシャンパーニュという意味でそのアンタンスって名付けているんでしょうね。
雪月 : だからローストビーフのサンドイッチと合わせたらいいと思ったんですね、きっと。
Next Review4 「どことなくする繊細な春の香り。これをラインアップした理由は…?」
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