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スリー・シャンパーニュ・スターズ 13
山下賢一 @ 恵比寿の達人
Champagne Cafe『アルベンテ』店長。人好きする笑顔と気さくなキャラクターで老若男女問わず多くの人を虜にする。
09.10.8 up
泡とチーズのマリアージュ間口は広く、奥行きはディープに
組み合わせ次第で、千変万化するチーズとシャンパーニュ。バランスを考えて正しいマッチングをすれば、香りや味の幅が広がり、相乗効果が期待できます。今回はチーズとシャンパーニュのマリアージュについて、Champagne Cafe『アルベンテ』山下賢一店長からプロによるプレゼンテーションをしていただきましょう。
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それぞれに個性を放つシャンパーニュとチーズ。テーブルを彩り、場に華やぎをもたらす最高の小道具でもあります。どちらもフランスはもとより各国の王侯貴族、文人、セレブリティに愛されてきた神と人智の恵み。シャンパーニュの産地でも、白カビタイプのシャウルスをはじめ、シャルルマーニュ大帝の大好物だったブリーなど、多くのチーズが作られ、古くからそのマリアージュは楽しまれてきました。けれど、チーズに対する先入観や思い込み、コンプレックスがあり、敬遠する人がいることも事実。ハードルを感じる人は思い切って取り除いてみましょう。シャンパーニュとチーズがベストマッチすることで、さらに「より美味しい」世界が拓けます。時間をかけずに用意ができて、手を加えずにそのまま味わえるのが、チーズの魅力。Champagne Cafe『アルベンテ』の山下賢一店長があなたの先入観を取り払い、泡とチーズのディープな世界へご案内します。

シャンパーニュとチーズのマリアージュを極めた『アルベンテ』山下賢一店長

複雑味のあるブラン・ド・ブランが、シェーブルチーズと絡み合う

[シャンパーニュ] アラン・ロベール ジャック・セロス '99 × [チーズ] ブロッチェ セル・シュール・シェル クロシェット

アラン・ロベールジャック・セロスなどの熟成し、複雑味のあるブラン・ド・ブランによく合うのが、酸味のある山羊のシェーブルチーズ。釣鐘型の「クロシェット」、木炭がついた「セル・シュール・シェル」など、キメの細かいシェーブル・チーズは軽い酸味や微かな甘みが特徴。ブラン・ド・ブランと味わえば、香りと余韻が口の中に広がります。コルシカ産のフレッシュチーズ「ブロッチェ」はジャムや塩・コショウをかけて、シャンパーニュの喉ごしとともに楽しんで。

[チーズについての詳細]
「ブロッチェ」(左)コルシカ産。ほのかにミルクの香りが漂うフレッシュ・シェーブル。
「セル・シュール・シェル」(中央手前)フランス・ロワール川上流の産。 原料は無殺菌の山羊乳のみで、木炭の灰をまぶして熟成。
「クロシェット」(右)フランス・ポワトゥ・シャラント地方で作られるシェーヴルチーズ。

プレステージ・シャンパーニュを力強い熟成チーズとともに味わう

[シャンパーニュ] サロン1997 クリスタル2002 ボランジェ・グラン・ダネ1999 '99 × [チーズ] アフェデリス(アフィネ・オ・シャブリ) ニュイドール カマンベール オ カルヴァドス

メゾンがトップ・キュべと位置づけるシャンパーニュに、その味に負けない力強いチーズを合わせても。サロン1997、クリスタル2002、ボランジェ・グラン・ダネ1999には、「アフェデリス(アフィネ・オ・シャブリ)」、「ニュイドール」などウォッシュタイプがおススメ。シャンパーニュの複雑な香りと混ざり合い、絶妙の組み合わせに。「カマンベール・オ・カルヴァドス」はリンゴのほのかな香りがシャンパーニュの熟成感と混ざり合い、口の中で広がります。

[チーズについての詳細]
「アフェデリス(アフィネ・オ・シャブリ)」(左)フランス・ブルゴーニュ産。白ワイン「シャブリ」を造ったあとのぶどうの絞りかすから造った地酒(マール)で洗って仕上げるウォッシュタイプのチーズ。
「ニュイドール」(中央)名醸ワインの生産地コート・ド・ニュイで造られている。塩水で丁寧に洗って仕上げ、表皮は黄金色でむっちりとした弾力があり、熟成が進むにつれ、香りが強くなり味もねっとりと濃厚。
「カマンベール オ カルヴァドス」(右)フランス・ノルマンディー地方特産のカマンベールチーズを同産地のリンゴの蒸留酒「カルヴァドス」でわずかに香りづけしたもの。

ロゼ・シャンパーニュには、ハードタイプの食感と香りをプラス

[シャンパーニュ] テタンジェ・コント・ド・シャンパーニュ ロゼ2002 ジャック・セロス '99 × [チーズ] コンテ パルミジャーノ・レッジャーノ ミモレット

テタンジェ・コント・ド・シャンパーニュ ロゼ2002、ジャック・セロス ロゼなど、バランスがとれたシャンパーニュには、ハードタイプを。「コンテ」のナッティな香り、「ミモレット」の風味が完成されたロゼによく合います。最低2年以上熟成させた「パルミジャーノ・レッジャーノ」は、やはり熟成されたシャンパーニュにもピッタリ。薄く削っても、厚く切って食感を楽しんでも、お好みで。

[チーズについての詳細]
「コンテ」(左)フランスのフランシュ・コンテ地方に広がる、アルプスに近いジュラ山脈一帯で、職人が手作りしているハードタイプの熟成チーズ。「チーズの王」に選ばれる。
「パルミジャーノ・レッジャーノ」(中央)イタリア産。エミリア・ロマーニャ地方で作られ、DOPの認定を受けたものだけが刻印を押される。旨み成分であるアミノ酸の白い結晶がじゃりじゃりとして、甘くしっとりしている。
「ミモレット」(右)フランス産。目に鮮やかなオレンジ色が特徴のチーズ。オランダ産の「エダム」とほぼ同様の製法で、熟成するとコクが豊かになるハードタイプのチーズ。

大切に育てられ、良い熟成を経て、食卓に供されるシャンパーニュとチーズ。「酸味、塩味、甘味、うま味」のあるチーズは、シャンパーニュにとって最高のパートナーでもあります。

これまでよりも、さらに奥深い世界へ入っていくためには、食わず嫌いは禁物。飲み比べ、食べ比べの積み重ねを経て、風味、食感、マッチングの好みが確立されます。シャンパーニュを楽しむ場では、「美味しい」という感情に勝るものはありません。ディープな味の世界を知ることで、あなたの人生にさらなる彩りと華やぎ、楽しみが加わることでしょう。

sH

恵比寿の達人からシュワリスタへ一言

シャンパーニュとチーズ。ルールに縛られる必要はありません。ご自身でいろいろなマリアージュを探してみるのもよいのではないでしょうか。『アルベンテ』ではフランス、イタリア、スペインなど世界各国の厳選したチーズ、そしてシャンパーニュをご用意していますので、是非お気軽にいらしてください。

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