1970年香川県生まれ。徳島県の老舗料亭“青柳”で研鑽を積み、料理長を勤める。2003年、六本木に「日本料理 龍吟」を開店。2007年11月に発表された『ミシュランガイド東京2008』で2つ星を獲得。開店以来、スペインをはじめヨーロッパ各地、アメリカの学会等で積極的に招待講演を行い、日本料理のグローバル化を目指している。
「日本料理 龍吟」 http://www.nihonryori-ryugin.com/
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今回のイベントでの最大のチャレンジ、そして、特に印象に残ったこと
山本: |
自分にとってのテーマでもある『日本料理とシャンパーニュ』というメッセージが料理の中にきちんと読み取っていただける説得力と完成度で備わっているのかどうかを再確認する機会であり、それが最大のチャレンジでもありました。僕はいつも「日本料理はソースの無い世界。素材だけ」と言っていて、シャンパンがこうだから料理もこうしなければならないとは考えていません。美味しさには構成があって、シャンパーニュに果実味や熟成感があるように、料理の素材にも旨みや香りがある。素材が持つ隠された部分や発している部分を嗅ぎ取って引き出して、うまくクロスさせていくところに料理とシャンパンを合わせる楽しみがあると思いますし、そうすることでマリアージュの可能性はもっと広がっていくと思います。
例えば、今回の鮑のように、全く同じ食材を使っても味付けにこだわらなくても、何かを変えることで重厚感を出したり爽やかにしてヴィンテージの変遷に寄り添うことができる。通常龍吟でやっている素材が本来持つ美味しさを最大限に引き出す考え方が受け入れてもらえたので、「あ、やっぱりこれでいけるんだ」と思いました。 |
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