「ニースの12か月」とともにシャンパーニュを愉しむ
~KEISUKE MATSUSHIMA料理サロン
ニースでレストランを立ち上げ15年。著名シェフというだけではなく、今やこの地の名誉市民として南仏の食文化の継承に貢献している、松嶋啓介氏。彼自身が語り、デモンストレーションを行う料理サロンが、東京・神宮前の『KEISUKE MATSUSHIMA』にて月1回開催されている。
ニースといえば温暖なリゾート地というイメージがあるが、実は、欧州の東西、地中海から北アフリカに連なる南北、さらに多様な宗教と地理的な十字路であり、歴史の螺旋階段でもある場所でもある。こうした文化が蓄積し、この地のライフスタイルを作り上げてきた。彼が経験してきたニースの食は、このライフスタイルのひとつのアイコンであり、すべての料理にこの地の祝祭への願いや風土への感謝などの意味があるという。「ニースの12か月」をテーマにした料理サロンは、ただ料理のレシピを紹介、習うだけのものではない。季節の行事に登場する料理を紹介したり、旬の野菜を使うことにより、その先にある料理と文化、料理とライフスタイルの歴史の関係性を体感し、その関係性は結果、人の体と心に自然な喜びをもたらすことを教えてくれる。
と、少し堅い紹介となったが、実際に初回であった2月の会に参加してみると、『KEISUKE MATSUSHIMA』のバースペースにしつらえたオープンキッチンで、松嶋氏が目の前で語り、デモンストレーションを行うというプレミアム感とともに、どこかニースの明るいレストランでリラックスして語らいあっているようにも感じられた。この日は15名ほどの参加者で、熱心にメモをとりながらも時折笑いが起き、堅苦しさはない。
これは今回のシリーズのコーディネートとナビゲーター役を担うフランス料理研究家の内坂芳美さんと松嶋氏の、まるで実際の親子のような軽快なかけあい、お二人から語られるニースの情景が、実に楽しいものであるからだろう。
この日のレシピは、北イタリアの郷土料理でニースでも食される「バーニャカウダ」だったが、なぜこの時期に野菜を食するのか? カーニバル(謝肉祭)の持つ意味とは? という背景の話と、いかに熱をゆっくり入れることが大切なのか? うまみの計算方法は? などの料理のテクニックが混ざり合って紹介される。参加者は実際に家庭で料理をされるであろう女性が多かったが、何人か参加されていた男性も含めて、実践だけではなく知的好奇心を大いに刺激されていたように感じた。松嶋氏ものったのか、時間をオーバーしても語りは続いた。
その後は、もう一つの楽しみ、KEISUKE MATSUSHIMAのメインダイニングに場所を移してのランチタイム。メニューは実際にデモンストレーションを行ったバーニャカウダの他、この時期には欠かせないという「子牛ポッシェ アルルカン風」と、甘みとバランスの良い酸味で世界的にも人気のフランス・マントン産のレモンを使った「レモンのタルトマントン風」。アペリティフには、シャンパーニュ騎士団シュバリエでもある内坂さんの選んだシャンパーニュ、『マム グラン コルドン』が登場。
この回の魅力のひとつは、毎回、内坂さんがセレクトしたシャンパーニュで乾杯できること。メゾン・マムのシェフ・ド・カーブのディディエ・マリオッティさんは地中海、コルシカの出身。南の日差しと海の雰囲気が似合う。ただ陽気なだけではなく、奔放な果実味を力強いストイックさで凝縮させ、飲んだ後に華やかにその奔放さをじっくり楽しむ。グラン コルドンのこうしたテイストは、奔放な謝肉祭と野菜中心のストイックな生活、そして再びの祝祭の謝肉祭へというニースの季節の流れを一緒に体感しているような感覚でもあった。
このシャンパーニュの他、毎回ワインも2杯楽しめる。イタリア、ピエモンテの郷土料理であるバーニャカウダにちなんで、この日のワインは、ともにピエモンテのガヴィ(白)、バルバレスコ(赤)がセレクトされた。
今後、3月はジャガイモのニョッキ、(メルダディカン)ストックフィッシュ、オレンジのティアン、4月はアスパラガスのミモザ、子羊のナヴァラン風、パンナコッタ、5月はニース風サラダ、トリップアラニソワーズ、いちごのバジリコ風味オリーブのグラスなど、毎回3種の料理・デザート、シャンパーニュ+ワイン2種が楽しめる(食材の入手状況などでメニューの変更あり)。
シュワリスタとしてはKEISUKE MATSUSHIMAの料理でシャンパーニュを味わうというだけではなく、その地域の食文化とシャンパーニュのマリアージュという探求心も刺激されるだろう。堅苦しくないプレミアムな体験。おひとりでも、ご夫婦やカップルでも、どうぞ。
直近開催日:2018年3月4日(日曜日)11時~14時30分
◆金額:おひとり様 12,000円(サービス料・税金込)
※30歳以下の方は特別20%割引価格で参加できます。
※日曜日開催につき、お子様との参加も可能。詳細は下記レセプションデスクへ
◆お申し込み方法:KEISUKE MATSUSHIMA(03-5772-2091)レセプションデスク
※先着順。開催2日前まで
◆お支払方法:当日、受付時現金にて精算
◆キャンセルポリシー:
開催日前日ならびに当日のキャンセルはキャンセル料として費用の全額
今後の開催日について
開催日は松嶋啓介氏の来日日程が年間で確定していないため、2ヶ月ごとにメール配信で通知。
◆本件に関する問い合わせ先:株式会社ACCELAIRE
KEISUKE MATSUSHIMA(03-5772-2091)レセプションデスク