爽やかな風の吹く初夏の夕暮れ。フランス シャンパーニュを代表するメゾンである『G.H.MUMM』 の希少な85′ 90′ 96′ ヴィンテージを味わう会に行ってきました。
G.H MUMMといえば、今や知らない人はいない有名メゾンですね。赤いリボンのエチケットで有名なF1の表彰台で抜栓されるシャンパーニュとしても有名です。また基本的なシャンパーニュに使用されるブドウの配合(シャルドネ、ピノノワール、ピノムニエ)のなかでも、ピノノワールの配合を多めにすることで、まろやかで力強い味わいを表現しています。 今回のディナーが催されたのは、銀座の資生堂ビルにある RESTAURANT FARO SHISEIDO。 通常はイタリアンですが、今回のマリアージュのためにL’OSIERのジャック・ボリー氏の監修も入りシンプルながらユニークなお皿が次々に運ばれました。 まずはじめの『G.H MUMM コルドンルージュ』にあわせる前菜は、ホタテに軽く火を通し、オリーブオイルとさっぱりとしたクリームが印象的。てっぺんに咲くきゅうりの花は地中海の風景のワインシーンを見ているようですね。 『G.H MUMM コルドンルージュ』はMUMMを代表するキュヴェで、フルーティーかつフレッシュな味わいです。 ここからヴィンテージの登場です。フルートグラスではなく香りを楽しむために大きめの深いグラスに注がれます。 より一層黄色味を帯びた芳醇な香りが鼻に入ってきます。 ほとんどのヴィンテージはだいたいピノノワールが6割でシャルドネが4割のバランスとのことです。去年の5月にデゴルジュマンという澱抜きをしたもので、世界中で年ごとのヴィンテージはたった150本ずつしかご用意がないような希少なクリエーションなのです。 96年はレモンの皮やドライフルーツ、白タバコなどのアロマ。人に例えると、ハツラツとした若い男のような。。。とのご説明。 一瞬辺りの女性のみなさんから「あぁ~」という同意の声が。 合わせるのは白アスパラガスをシンプルに。赤ワインヴィネガー(バルサミコ酢のような)のエスプーマにアサツキのコントラスト。 なんとなくかわいらしい一皿です。 サッパリとした味だからこそ、ヴィンテージが引き立つ、そんなマリアージュです。 つぎに登場したメインの前の冷製パスタは贅沢なサマートリュフをふんだんに使用しています。 そこに合わせるのは、かなり濃厚な85年。 フルーツのコンフィ、ヘーゼルナッツのプラリネ、スパイスを入れたコーヒーのニュアンス。 人に例えると、やはり若い男。30歳ぐらいの。。。という今度は具体的に。。。ちょっとドキッとしました。 香りをかぐとはじめは、カスタードのような甘い、、、と思うと次に正にトリュフのような迫力のあるアロマ! このアロマを感じながら、お魚に進みます。 スズキをカリッと生地に包み込み一直線のパプリカの赤いリボン。 まさにコルドンルージュ。食感と新鮮な素材。そしてヴィジュアルのインパクトがまさに絵画のようです。 お肉料理はボリュームのある仔牛にでーつの甘いソース。モリーユ茸の香りがアクセント。 あわせるのは90’→85’ときてなんと96’に戻ります。この年は、革命の年といわれるほど出来が良く、 3本の中で一番の自信作とのことでした。 個人的には85が印象的ですが、、こちらもエレガントさ、濃厚さ、フルーティさのバランスが絶妙でした。 最後を締めくくるデザートはイタリアン色が際立つアイスクリームケーキ。イタリア風だとセミフレッドでしょうか。 メレンゲの生地の隣に甘酸っぱい3種のアイスクリームのトロワ・コルドン。 マンゴー、ラズベリー、カシス。 ソースはコルドンならぬフリュイ・ルージュのソースと最後まで一貫した面白さ。合わせるのはもちろんロゼ。 最高醸造責任者であるディディエさんのお話にありました、『CONVIVALITE』~コンヴィヴィアリテ~ 共に食し、ともに時間を共有するそんなシャンパーニュであり続けることが大切であることがすごく印象的でした。 『G.H MUMM』という赤い糸、いや赤いリボンでさらに色々な人と素晴らしい時間を共有できればよいですね。 15代目 六兵衛でした。