泡が出ないシャンパーニュはシャンパーニュか? という禅問答はさておき、泡がないとシャンパーニュらしくないですよね? あの繊細な泡がどうやって生まれるのか? 順を追って説明しましょう!
base text: 前田行紀
text: ナヲユキ & シュワリスタ・ラウンジ編集部
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ブドウの収穫は9月ごろ。この時期のシャンパーニュ地方は、通常の落ち着いた雰囲気と異なり、戦場に!?
機械での収穫が禁じられているので、収穫のタイミングを逃すまいと、籠を背負って畑を歩き「手摘み」する大変な労働なのです。農作業を手伝いたいなら9月に行こう!(笑)
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プレス機に掛けてブドウジュースを絞ります。4,000kgのブドウから2,550Lの果汁しか絞りだしてはいけません。この果汁の内、最初の一番絞り果汁2,050Lをキュヴェ(cuvee)、二番絞りの500Lをプルミエ・タイユ(premier taille)といいます。 |
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造り手によってこだわりがあり、キュヴェの最初の果汁は雑味があるので使わない造り手や、二番絞りを一切使わない造り手など様々です。 |
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破砕・圧搾した果汁を一次発酵させます。最近では一般的にステンレス樽で発酵させますが、造り手によっては木樽を使って発酵させたりもします。
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発酵させたワインや過去に製造して倉庫に保管しておいたリザーヴワインを調合して、メゾンの味わいを出します。その年の味覚を決定付ける重要な作業です。
多くのメゾンでは数十種類のベースワインをブレンドしています。このアッサンブラージュの技術の高いメゾンは必然的に安定したシャンパーニュを供給できることになります。このブレンド比率はメゾンの最重要機密でもあります。 |
ロゼの作り方は主に2つ。アッサンブラージュの過程で赤ワインを混ぜて発酵させる「アッサンブラージュ法」と、破砕・圧搾の過程で果皮ごと漬け込んでロゼ色の色素を抽出してアルコール発酵させる「マセラシオン法」があります。 |
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蔗糖(しょとう)と酵母を、アッサンブラージュしたワインに添加する工程。この蔗糖はシャンパーニュに甘みを与えるものではなく、酵母の栄養源となるものです。
この蔗糖の量によってシャンパーニュの「気圧」が調整されます。要はガスの発生量が変わるのです。あまり多く入れすぎるとこの次の「瓶内二次発酵」過程で瓶が破裂します(笑)
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ティラージュで混合された酵母が蔗糖を栄養分に発酵する工程。
圧搾後の発酵を「一次発酵」とすると、こちらの発酵は2回目になるので「二次発酵」と呼ばれます。この発酵により炭酸ガスが生じて、泡になります。
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二次発酵を終えたシャンパーニュはNV(ノン・ヴィンテージ)で最低15カ月、Vintage(ヴィンテージ)物だと最低3年は瓶内で熟成させます。プレスティージュ・クラスやこだわりあるメゾンなどでは、この規定を遥かに超える熟成を施すところもあります。
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ヴーヴ・クリコの女傑マダム・クリコが発明したと言われる「ピュピトル」(木の板に穴を空けてボトルの口が下向きに刺さるようにした道具)を用い、1日1/8回転ずつまわし瓶の口に澱を集める作業で、数週間掛けておこなわれます。 |
「ピュピトール」で瓶の口のほうへ澱を集めている様子。
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現在はほとんどのメゾンがジャイロパレットという自動動瓶装置を導入していますが、昔ながらの「手作業」で行うメゾンもあります。
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ルミアージュによって瓶の口に集められた澱を取り除く作業です。澱をマイナス25℃の塩化カルシウム水溶液につけ凍らせます。次に栓を抜くと瓶内の圧力によって、澱が「ピヨッ」と飛び出してきます。 |
瓶内の圧力で、澱が勢い良く飛び出しているのがわかる。
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シャンパーニュにとってデゴルジュマンの時期は非常に重要な意味を持っています。メゾンによっては注文を受けてからデゴルジュマンしたり、デゴルジュマンの日付けをエチケット(ラベル)裏に記載しているメゾンも見受けられます。
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シャンパーニュの原酒となったワインに加糖したリキュールを添加します。この「加える量」でシャンパーニュの甘口・辛口が決定します。シャンパーニュ作りの最後の工程にあたるため「門出のリキュール」と呼びます。
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圧縮したコルクで打栓し、ミュズレ(王冠)と針金をかけます。最後にエチケット(ラベル)を貼って完成です。
あとは出荷を待つばかり!
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エチケットをきちんと理解していれば、もっとシャンパーニュが身近になる! 次回は9月下旬公開予定! |
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