SHレポート
『ペリエ・ジュエ ベル・エポック 2002』 最高醸造責任者 エルヴェ・デシャン氏 インタビュー
SH エクスクルーシヴ インタビュー
10年春、シュワリスタ待望のニュースといえば、やはりベル・エポックの新ヴィンテージである02年のリリース。シャンパーニュ全体としてもグレート・ヴィンテージとの呼び声も高いこの02に、ベル・エポックはどんな美しい華を咲かせてくれるのか、興味は尽きない。1年半ぶりの再会となる、ペリエ・ジュエ最高醸造責任者エルヴェ・デシャン氏に聞いた。
醸造責任者として18年目、今回が8回目のヴィンテージとなります。毎回ご苦労も多いかと思いますが、02に関して、辛かったこと、幸せだったことをお聞かせいただけますか?
D: 常に幸せなことのほうが多いものです。しかし、02ヴィンテージに関しては特に幸せなことの方が多い日々でした。まず今回使用した12区画すべてにおいて、気象条件に恵まれたことがあげられます。気温が上がり十分に乾燥したこともあり、糖分も十分に上がり、濃縮感と酸のバランスなど、素晴らしいものでした。アルコール度は高く、長期間にわたって爽やかさを保ったまま熟成が進むことでしょう。
1年半前に00年についてインタビューをさせていただきました。00年と比較すると、どのような違いがありますか?
D: 00年はシャルドネのフローラルさからくるチャーミングな印象があったかと思います。02年は、まろやかさ、複雑さ、それらが調和したエレガントさ、と言えるでしょうか。アカシア、サンザシ、白い花の記憶。そこからグレープフルーツ、ライムなどの柑橘系の香り、そしてバニラへと変化していきますね。
前回、ベル・エポックのそれぞれのヴィンテージを女性に例えていただきました(笑)。98、99が40代の社会に対して非常に存在感のある女性だとすれば、00年は若く、まだちょっと青さがある。ただその隠れた才能が将来…未来に向けてとても輝きを感じさせるような女性、という感じで。恒例…でもないのですが、今回もお願いできますか?
D: そうでしたね(笑)。02は世代的には00年と同じでしょう。20才の若い女性。初めて大人のワンピースを着て…そう、自分で華をまとい始めて、これから何かを始めようとする意志。今よりもしっかり遠くを見据えていて、将来は98,99のように存在感のある女性、女社長のような影響力をもつようになるでしょう。実に楽しみです。
前日のプレスランチでシュワリスタ・ラウンジのメンバーが一足早く02を体験し、とても感激をしていました。また多くの女性から「素晴らしい」という声を聞いています。女性からの支持を集めていますね。
D: 非常に飲みやすく、チャーミングであることがあげられるでしょう。女性の友人同士でも楽しんでいただきたいと思います。そう、02年を拒否する女性はいないでしょう(微笑)。
その自信はどこから? (笑)
D: 経験からです(笑)。「02が大嫌い!」という人がいたら私のところに来てください(笑)。それは冗談としても、ちょっと褒めすぎかもしれませんが、02に関しては完璧だと自負しています。チャーミングさ、エレガントさ、純粋さ。これは素敵な女性、そして日本の女性のイメージかもしれませんね。
嬉しい一言です。02年はシャンパーニュにとって幸せな年であることを再認識しました。ありがとうございました。
『ペリエ・ジュエ スプリング フラワリー パーティ in 東京』
エルヴェ・デシャン氏インタビューの夜、ベル・エポック2002年の登場を記念したパーティが、フォーシーズンズ椿山荘 東京にて開催されました。 96、00、02、02ロゼと『Les Créations de NARISAWA』成澤由浩オーナーシェフによるクリエイティヴィティ溢れる料理との競演は、お互いの世界が華開く素晴らしい時間。ゴージャスよりもエレガンス。ベル・エポックの魅力はやはりそこにあるという実感がありました。
sHテイスティングコメント
クラマン、アヴィーズ、ル・メニル・オジェのシャルドネ50%、マイィ、アイ、アンボネイ、マルイユ・シュール・アイのピノ・ノワール46%、ピノ・ムニエ4%というアッサンブラージュ。ベル・エポックの生命線ともいえるシャルドネの出来は非常によく、白い果肉のフルーツから白い花、柑橘系そしてバニラと理想的なーがストーリ描かれる。南仏のきらめくシャルドネ感から、ムルソーを感じさせるどっしりとした骨格までが、清らかな輝きの中で登場し、主張し、溶け合う様は、グレート・ヴィンテージの予感をさせるのに十分。今ここにあるある圧倒的な存在感というよりも、今は純粋で清らかでも、その奥底にとんでもないパワーを感じさせてくれる幸せがある。