シャンパーニュを楽しむWEBマガジン [シュワリスタ・ラウンジ]

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INTERVIEW

SHレポート
『ボーモン・デ・クレイエール』 生産者インタビュー

SH エクスクルーシヴ インタビュー

sHwAlista LOUNGEでも紹介されている麻布十番にあるシャンパンバー『tiQuoi』で、ボーモン・デ・クレイエールの社長兼エノロジストであるOlivier PIAZZA(オリヴィエ・ピアッツァ)氏(以下OP)にCM、そしてボーモン・デ・クレイエールの魅力について語っていただきました。

【ボーモン・デ・クレイエール概略】
ボーモン・デ・クレイエールは1955年に、エペルネのワインの生産者が少人数集まって自分達のブドウでシャンパーニュを作り始めたことが設立のきっかけとなっています。本拠地はマルドゥイユという村で品質の良いピノ・ムニエが産出されます。メゾンの名前の由来は、創立の際に所有していた最も良い畑であった、ボーモン(美しい丘)とクレイエール(白亜質)、この2つの畑の名前を取って名づけられました。現在では多くの生産者が加わり86ha、55万本の生産量となっています。

11_ph_01こんにちは。早速ですがボーモン・デ・クレイエールはCM(コーペラティブ・マニピュラン)ということですが、日本でも最近はNM・RMに続いて徐々に知られるようになってきています。しかしまだまだ理解がされていないように思うのですが、CMとしてはRMやNMに比べてどのような違いがあるのでしょうか。

OP: まずはブドウの売買の仕方ですね。 NMもCMも村や畑によって市場の価格がありますのでほとんど買い取り価格は変わりません。しかし私達のコーペラティブに居る栽培農家はただ契約しているだけではなく、それぞれが株主でもあります。つまり一人一人がオーナーのような状態です。そのため、生産者全員がよりいっそう高い品質を目指そうと努力をしてくれています。

11_ph_02これですとコーペラティブにブドウを提供しているだけでなく一人一人がシャンパーニュ造りに携わっている事が実感できますね。それではボーモン・デ・クレイエール独自の特徴を教えてください。

OP: 私たちのCMの大きな特徴はブドウの選別です。私達は現在86haの畑からシャンパーニュを造っていますが、畑のキャパシティいっぱいにはシャンパーニュを造ってはいません。そのために他のメゾンであればあまり選別を厳しくしすぎると数量が確保できないということが起こりますが、私達はキャパに余裕があるため、厳しくブドウを選別できます。これは品質第一のシャンパーニュにおいて、選択肢が多いということを意味します。

11_ph_03なるほど、やはりブドウの品質が第一ということですね。他に醸造法や醸造過程などで拘っている、または気をつけていることがあれば教えてください。

OP: シャンパーニュを造るにあたって5つの大切な事があります。第一に「ブドウ」。第二に「圧搾の技術」です。他には「瓶内二次発酵」、「デゴルジュマン」、「ブレンド」です。


ブドウについては先ほど述べたので、圧搾についてお話します。シャンパーニュでは法律で4000Kgのブドウから2550Lと決められています。果汁はキュヴェ(一番搾り果汁の事)の方が、タイユ(ニ番搾り果汁のこと)より良い果汁であることはご存知だと思いますが、私達は二番搾りのタイユを使いません。これはタイユが香りの面で劣るのと、熟成向きではないからです。

さらにキュヴェも品質を追求しています。キュヴェの中でも良いとされるクール・ド・キュヴェといわれるものがあります。私達はこのクール・ド・キュヴェをシャンパーニュ造りに使用しています。まず本当に最初にでてくる果汁は果皮のえぐみ等が入っているので使用しません。その後に種の周りの果汁が搾り出されます。種の周りの果肉は甘くて良い酸を持っています。これがクール・ド・キュヴェです。これはキュヴェと呼ばれる2050Lのうち1000Lほどしか搾汁できません。このクール・ド・キュヴェは私たちのシャンパーニュではミレジムに100%、NVにも一部がブレンドされています。


11_ph_04なるほど、一つ一つの工程に妥協せずに造られているのですね。それでは自社のシャンパーニュのスタイルを教えてください。

OP: ボーモン・デ・クレイエールのスタイルは2点あります。まず表現力のあるシャンパーニュを追及しています。それはフレッシュであり柔らかであり、フィネスにあふれているということです。これが私たちのベーシックなスタイルです。シャンパーニュは良く女性的であるとか男性的であるなどと表現されますが、私達は女性的なシャンパーニュを目指しています。

またピノ・ムニエに注目してください。ピノ・ムニエは私達のシャンパーニュ造りで大切な役割を持っています。ピノ・ムニエはシャンパーニュ地方でのみで見られる品種で独特なものです。一般的にはマイナスイメージがあるのか、ピノ・ムニエの事をみなさん語りたがりません。その理由としては他の2品種に比べて熟成期間が短いということがあげられると思います。しかしこれはNVに使用すると非常に面白い結果をもたらします。なぜなら品種由来の果実味、フレッシュさ、軽やかさをシャンパーニュに与えるからです。私達の造るGrande Reserveを味わっていただければそれが良く分かるでしょう。


11_ph_05ありがとうございました。私達のwebサイトsHwAlista LOUNGEを見ている方でフランスに行く人、または憧れている方達も多いのですが、シャンパーニュ地方、特にマルドゥイユを尋ねた時の観光案内などを聞かせてください。

OP: マルドゥイユ自体は小さな村なので本当になにもありません(笑)。エペルネからはバスで10分ほどですのでエペルネを訪ねることが良いでしょう。エペルネでお勧めのお店をいくつかご紹介しましょう。

『LA TABLE KOBUS』ここは質の良いブラッスリーで観光客の方には、お勧めです。ミシュランの星付のレストランも必要ですか?それなら『LE ROYAL CHAMPAGNE』が良いですね。ここは宿泊する事も可能です。『LE KHEDIVE』は気軽にグラスでシャンパーニュがいただける良いお店ですね。


11_ph_06私などはシャンパーニュへ訪問すればやはり、メゾンの見学をしたいと思っていますが一般の方が訪問をして見学は可能ですか?

OP: はい、可能です。月曜~金曜までの8:30~12:00までと13:40~17:30まで一般受付を行っていますので、お気軽にいらしてください。ボーモン・デ・クレイエールに訪れるにはエペルネから、スパルナパスに乗車してコーペラティブという停留所を下車してすぐです。


11_ph_07最後に日本にこられて、感じられたことがあればお聞かせください。また日本のシャンパーニュ・ファンに伝えたいことがありましたら聞かせてください。

OP: 日本に来てよかったのは、日本のレストランは食に非常にこだわりがあり、どこへ行っても美しいものが出てくる。ワインショップの品揃えやレイアウトもすばらしい。日本の人はシャンパーニュのある生活を楽しんでいるように見えました。日本のみなさん、シャンパーニュを飲んでぜひ幸せになってください。特に女性の皆さんはシャンパーニュを飲むと美しくなれますよ。

このほかにもピアッツァ氏は圧搾機の詳細などシャンパーニュ造りの技術面などの話を熱心に語りました。そしてかなりの料理好きで、筆者に「ボーモン・デ・クレイエールを訪問した時はぜひ一緒にシャンパーニュに合う日仏料理のレシピを交換しましょう」とマリアージュの話題で盛り上がりました。しかし最後にピアッツァ氏は微笑んで一言。「しかし最後に勝つのはシャンパーニュですが」。


ピアッツァ氏 おすすめのお店

LA TABLE KOBUS
住所:rue docteur Rousseau Epernay,51200
番号:03 26 51 53 53
予算:€35

質の良いブラッスリー

LE ROYAL CHAMPAGNE
住所:Bellevue 51160 champillon
番号:03 26 52 87 11
予算:€80~

ミシュランの星つきレストランでもあり宿泊することも可能

LE KHEDIVE
住所:1,place Auban Moet 51200 Epernay
番号:03 26 55 24 22
予算:€10~

シャンパーニュをグラスで飲める店、軽く食事をしながらシャンパーニュをいただくことができます

Grande Reserve Brut
グランド・レゼルヴ・ブリュット NV

PM60%、CH25%、PN15%。二番絞りのタイユを一切使用せずキュヴェのみ。NVで2005年が70%、リザーブワインは2003年と2004年のものを使用している。軽やかでフルーティかつやわらかさがある。プラム、シトラス、わずかにアーモンドの香りも感じられる。ドサージュは9g/L。川魚の塩焼きなどとの相性が良く食前酒にも向く。

Grand Prestige Brut
グラン・プレスティージュ・ブリュット NV

3年間熟成、セパージュはCH・PNを40%ずつ、PMが20%.グランド・レゼルヴより1年長い熟成。火を入れた桃、アーモンドなどの香りが感じられる、ドサージュは9g。現在リリースは2004年収穫で2003年と2002年のリザーブワインを35%使用。食事と合わせるのに良いシャンパーニュ。鴨のグリルなどがおすすめ。

Fleur Noire Blanc de Noirs Brut Millesime 2002
フルール・ノワール ブラン・ド・ノワール ブリュット・ミレジム

PN100%のブラン・ド・ノワール。カラメル、チョコレート、果物だとアプリコット、口いっぱいにリッチな風味が広がるシャンパーニュ。味わい的にも強いものがあり、食事にも積極的にあわせていける。かなりしっかりしたソースとも相性が良い。熟成期間は5年~6年熟成したのちリリース。リード・ヴォーにマッシュルームをあしらったものに軽いソースでいただきたい。2002年の後は2003が造られている。

Fleur de prestige Brut Millesime 99
フルール・ド・プレスティージュ・ブリュット・ミレジム

CH :50%、PN40%、PM10%。色合いは深く、香りは蜂蜜やアカシアのような、柔らかな香り。バニラやジンジャーブレッドの香りも。バランスが良く、角の立っていないまろやかな酸がある。アフターは華やかな蜂蜜の香りに戻る。瓶内で8年熟成。火を通した魚料理がベストマッチ。

Fleur Blanche Blanc de Blancs Brut Millesime 99
フルール・ブランシュ ブラン・ド・ブラン ブリュット・ミレジム

シャルドネ100%、緑がかった軽やかな色合い。りんごのジュレやフジのような香りがして少しスパイシーなニュアンスがある。白いアーモンドの香り。フレッシュでさわやかな口当たりはホタテ貝などのシーフードに良く合マッチする。フレンチスタイルの寿司にも好相性

Nostalgie Brut Millesime 98
ノスタルジー・ブリュット・ミレジム

ノスタルジーはボーモン・デ・クレイエールのトップキュヴェ。所有している畑で最も良い区画を使い。醸造は区画ごとに分けておこなっていて、一部のワインは樽発酵をさせている(600Lの樽)。セパージュは65%がCH:65%で残りはPN。現行のものは98年にアッサンブラージュされ、色は深い金色で泡はとても細かい。ローストしたアーモンド、モカ、ラズベリー、パイナップル。口の中に入れるとクリーミーなニュアンスやアーモンドそのもののような香り。単体で飲んでも十分楽しめ、牛フィレ肉にジロール茸とクリームソースを合わせたものとベストマッチ。

Fleur de Rose Brut Millesime 2003
フルール・ド・ロゼ・ブリュット・ミレジム

PN:60%、CH:30%、PM10%。アッサンブラージュ法で作られたロゼ。アッサンブラージュする赤ワインはPMとPNが半分ずつ。年にもよるが赤ワインは10~15%ブレンドされる。ローズ色のようなきれいな色合いで泡も繊細。フレッシュな果実の香りも感じられる。果実味だけではなくエレガントな印象もある。サーモンとキャロット、ポロねぎをホイルに入れ、塩コショウしホワイトソースと共に蒸し焼きにしたものなどと好相性。

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