サンタクロースを信じていますか?
幼き頃、サンタクロースを信じていた。
深夜、皆が寝静まった頃、そっとサンタクロースが来ると信じて、
いつもよりも早く布団に入り、寝ようとしたが興奮してなかなか眠れなかった。
クリスマスの日、目覚めると枕元にオモチャがあった。
煙突のない長屋であったが、当時の私には、サンタクロースがどこから入ってきたかなんて、そんな野暮なことは、コレッポッチも考えなかった。
ただただ、サンタクロースを信じていた。
そして、プレゼントに心から喜んだ。
小学6年生の時、サンタクロースはいないと知った。
特にショックはなかった。
両親と一緒に自分の欲しいクリスマスプレゼントを、自分のために買いに行った。
当時のディスカウントショップ、今でいうところの「ドンキ」みたいなところへ。
中学生になりクリスマスプレゼントは現金に変わった。時代はバルブ。
それはそれで嬉しかった。
社会人になりホテルに就職した。
それからクリスマスは多忙な出勤日となった。
以来20年間、クリスマスをプライベートで過ごしたことがない。
(ちっ!目の前でイチャつきやがって・・・(心の声))
30代になり結婚し2006年11月に息子が生まれた。
そして、遠い昔にいないと思っていたサンタクロース、
そのサンタクロースに、私は突然なれた。
それは世界を救う空飛ぶヒーローになったような気分だった。
幼き息子の喜ぶ顔を期待して毎年12月のその時だけ、私は全力でサンタクロースになった。
何をサンタクロースから貰ったら喜ぶのだろうかと、普段なかなか一緒に過ごせない息子の寝顔を眺めながら、
直前まで悩んだ。私には白い髭もないし、トナカイもいない。
もちろん我が家はマンションなので煙突もない。
私が幼き頃に煙突の無い長屋で、今はこの世にいない私の両親も、きっと同じ気持ちだったのだろうと思うと、
有難さで少し涙が出た。
今年、息子は9歳になった。まだサンタクロースの存在を信じている。
しかし、最大の危機が私に訪れたのである。今年のサンタクロースへのお願いはなんと、
「猫」である。猫を飼いたいと。。。
しかし、残念なことに息子も妻もアレルギー持ちで毛の生えた動物はNGである。
小6の私がそうであったように、ついに息子も現実を知ってしまうのか!
そんな複雑な気持ちで、仕事を終えた深夜4時に自宅で飲むのは、
モエ・エ・シャンドン・グラン・ヴィンテージ2006
息子のバースデー・ヴィンテージである。
息子よ。
わんぱくでもいい、
たくましく、優しく、育ってくれ。
パパはあなたが世界で一番大好きです。
そんな2015年のひとり、もの思いに耽るクリスマス前夜である。
翌朝、結局、サンタさんは子供たちへのプレゼントは、自分で作っていて、
命は作り出せない!という結論で納得させたのである。
た、た、助かった。まだあと少し、夢をかなえてあげることが出来そうである。
つづく・・・
シャンパンと餃子の人
モトダタケアキ