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07.12.23 up
TALK about ‘AY’
華やぐ街の裏側で 今宵、アイを語る 至高のピノ・ノワールに酔う、浸る、語る

シャンパーニュの中でも特に秀でたテロワールを持つと格付けされた17のグラン・クリュ。それぞれに素晴らしい個性を放つ中で、なぜか男心をガッチリつかんで離さない村がある。それがアイだ。 豊かでがっしりした艶のある世界に、女性たちも酔う。パーティーシーズンに、ちょっと背を向けて…今宵は、アイを語ろう。

text: 岩瀬大二 photo: 片山よしお シャンパーニュ協力: (有)ヌーヴェル・セレクション / ジャパン・フード&リカー・アライアンス(株) / (株)ヴァンパッシオン

1 アイを伝える男 2 アイを語る3本 -前編- 3 アイを語る3本 -後編-
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1 アイを伝える男
ハンドルネーム「泡代償」

mixi「アイ村」コミュ管理人にして名前どおり、シャンパーニュのために(特にアイ村泡)全てを捧げる男(言い過ぎ/w)。

「アイ村の泡との出会いは明確に覚えている。」

アイ村の泡との出会いは明確に覚えている。フィリポナ クロ・デ・ゴワセ 1990だ。

その頃は泡に興味を持ち始めたころで、アイ村の知識など毛頭持ち合わせていなかった。場所は、伊勢丹のノエル ア ラ モード。フィリポナのコーナーの前を通った時に目に飛び込んできた木箱入りの泡。木箱入りの泡なんて当時の私には背伸びもいいところ。そこに店員の悪魔の声。
「数あるシャンパーニュの中でも、畑名を名乗れる泡は2つしかなく、これはその1つです」
ストーリー性が気に入った。気づいたときにはレジにいた。後日、友人のお祝いで開けた。その時の衝撃は今でも忘れない。強烈な果実香のあとに複雑な香りと味わい。そして、余韻がまた素晴らしい。

それから、クロ・デ・ゴワセはアイ村にあることを知り、アイ村はピノ・ノワールの優れた産地であり、優秀なメゾンがいくつもあることを知った。ボランジェゴッセドゥーツアンリ・ジローアヤラと次から次へとアイ村の泡を飲みまくった。やがて、アイ村以外の泡も色々と飲み、ある時に自分は黒葡萄比率の高い泡が基本的に好みということがわかった。自分の好みがわかって、なぜ自分がアイ村の泡にのめり込んだのかが理解できた。

今宵はアイを存分に語れるらしい。実に楽しみだ。

編集長・岩瀬大二

シュワリスタ・ラウンジ編集長にして時間に正確なラテン系。つまり真面目に艶を作り出すメゾンが好き。

アイ村に本拠をおくボランジェの若きエリア・マネージャー、ヴィアネイ・ファーブル氏と麻布十番・tiQuoiで、飲んだ。彼は翌日早朝から京都に向かうというのに、立ちっぱなしで2時間あまりつきあってくれた実に愉快な時間だった。話のほとんどはくだらない話だった。TGVと新幹線の違いという日仏鉄トークに、日本の夜のお遊び、クラブには発音で2つある、とか。ボランジェは、007が愛するシャンパーニュだが、ファーブル氏は、カジノ・ロワイヤルのボンドのようだった。男の厳しさと、しかしどこか脇の甘い優しさが同居する男だった。

アイ村泡の何に惹きつけられるのかといえば、その人間臭さだ。アイ村メゾンの方に怒られるかもしれないが、僕個人としては、アイ村泡に芸術性を感じない。圧倒的な美しさ、荘厳な芸術性は他の地域。だが、どうしようもない男の真面目さと、そしてどこかクールになりきれない優しさを感じてしまうのだ。

ヴェルズネイやブジーのどこまでもしっかりした男ではない。アイ村のピノ・ノワールのどこかほっとけない危うさと美しさ。高貴なくせに人間の欲や本能を魅せてくれるゴッセやアンリ・ジローから、ブルーカラーのアフター5、ガツンとくるガティノワまで、なんだか男のストーリーが詰まっている。アイ村好きの男は嘘が下手な男、なんて思うわけだ(笑)

「アイ村好きの男は嘘が下手な男、なんて思うわけだ(笑)」
アイを注がれる女
T.S.嬢
シャンパン暦はほとんどないというライトシュワリスタ。なのに、いきなりこんな濃い話に。戸惑いの中はじまったアイを語る夜だったが、次第に…
という3人が、アイの3本を味わいながら、アイについて語ります。もちろんレビューはいつものシュワリスタ・テイストで。
アイ村ミニガイド

南北に長いシャンパーニュの指定地域の真ん中あたり、ヴァレド・ラ・マルヌ地区にあるアイ村。アンボネイ、ブジーと並び優良なピノ・ノワールの産地として知られ、歴史の古い有名メゾン多数がこの地に本拠地を置く。主なメゾンでは、ゴッセ、ボランジェ、アンリ・ジロー、ドゥーツ、アヤラ、ゴセ・ブラバン、RJ.ラリエ、ピエール・ルブッフ、ラウル・コレ、アンドレ・ロジェなど多数。クロ・デュ・メニルと並び単独畑として最良と称されるフィリポナ社が所有するクロ・デ・ゴワセもある。ほぼ南向きで果実実にあふれる黒葡萄が収穫できるのが最大の特徴。

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