「そういえば今、南麻布のエンジンでアルファのジュリエッタがおいてあるから、帰りがけに寄ってみていかない?」 グラフィック・デザイナーの一言をきっかけに、4人は「隠れ家」を後にして、西麻布に向かった。 そのバーでは男の五感を刺激する「玩具」を愛でながらシャンパーニュを飲む。その玩具は、車。 大人でなければできない話題を子供のような無邪気さで語りあう。男同士だから妙な格好をつける必要がない。昔の教室で特撮ヒーローの話をするのと、高級といわれる欧州車の話をすることは、本質的には何も変わらない。ランニングと短パンと麦わら帽子の夏の日の麦茶が、今はこだわりのカフスで飲む深夜のボランジェのロゼに変わっただけだ。 |
「ボランジェのロゼは最近、落ち着いてきたね。最初に飲んだ時と印象が大分かわったよ」 「ボワゼルやドゥーツのロゼもいいよね。サーモンピンクのエチケットがなにげに控えめながらも好印象」 男のためのロゼ、とメゾン自らが謳うボランジェ ロゼ。 そして頑固なまでに哲学を貫きながらも、意地は張らない同じアイ村のドゥーツ ロゼ」が男の悪戯心を一口ごとに高めてくれる。 「悪い意味での落ち着きなら今の英国車は刺激がない。でもやっぱりアストンマーティンはいい」 「マセラティは大きすぎる。東京向きじゃないね」 |
立ち上がる泡の優しさとともに、しっかりとした力強い飲み応えを感じられるロゼ・シャンパーニュ。まさにボランジェならではの男性的な味わいは、成熟した男同士の深夜の密会にこそふさわしいだろう。 |
ピノ・ノワール100%ながら、軽やかでどこか可憐さを持ち合わせた一本。甘いイチゴと酸味のあるラズベリーを彷彿させる味わい。この1本を可憐な女性と例えれば、男性同士の夜もきっと華やかに過ごせるはず。 |
話したいことはたくさんある。でもすべてを使い果たす必要はない。また男同士、たおやかで無邪気な時間を作ればいい。深夜3時。少し眠い目をこすりながら、翌日に臨むために帰宅する。表の顔の張りがあるからこそ、この薔薇泡の時間が幸せな時間になる。 |
Vol.39
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