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シュヴァリエ叙任記念 公式訪問レポート シャンパーニュの騎士として 語り伝えたい秘められた情熱と美学 Pride of Champagne

大手メゾンのように派手さはない、しかし200年にわたって家族経営を守り抜き、高品質なシャンパーニュを作り続けることで、その存在をアピールするシャンパーニュメゾンがある。現在7代目の当主スタニスラス・アンリオになって益々洗練された感があるアンリオがまさにそうだ。シュヴァリエ叙任後の初のメゾン取材でその伝統あるメゾンの素顔に迫る。

HENRIOT探訪01 カーヴに眠る秘密

300年以上受け継がれる由緒ある家族が頑なに守り続ける伝統と革新

アンリオ家の歴史は300年以上前初代アンリオ家当主のJean Henriot(1656〜1729)まで遡ります。アンリオ家はシャンパーニュ製法が確立される以前、16世紀からランスに居を構えていました。その後時は流れて1808年。ニコラ・シモン・アンリオの未亡人である、アポリーヌ・アンリオがアンリオ社を正式に創設しシャンパーニュを世に送り出すところから、本当の意味でのアンリオとしての歴史は始まりました。

その後、1850年にはオランダ王より正式な納入業者としての証明書を与えられ、1905年にはオーストリア皇帝かつハンガリー王でもあるフランソワ・ジョゼフ2世より王室御用達の証書が与えられました。

このような数々の名誉を受けつつ、今年2008年は創業から数え200年という節目の年。大手メゾンによる統合が進むシャンパーニュの世界においては、現在も家族経営を続けている稀少なシャンパーニュメゾンです。

ピノ・ノワールとシャルドネの2種のブドウが織り成す洗練

現在アンリオ家は先代ジョセフ・アンリオの息子であるスタニスラス・アンリオが2004年より7代目当主に就任しています。生産本数は年間200万本。アンリオの特長といえば、まず出てくるのはピノ・ムニエを基本的には使用しないことでしょう。これは、ピノ・ムニエの熟成が他の葡萄品種に比べると早熟であるということが理由です。コート・デ・ブランとモンターニュ・ド・ランスの良質なシャルドネ、そしてピノ・ノワールから作られる洗練された、かつ力強いスタイルこそアンリオ社のシャンパーニュの特長です。

アッサンブラージュに占めるシャルドネの比率が高く、ほとんどのキュヴェで40%以上を使用しています。そして急がずに時間をかけてシャンパーニュを熟成させます。シャンパーニュの最低熟成期間はNVでは15ヶ月以上、ヴィンテージでは3年以上と規定されていますが、アンリオ社は規定より遥かに長い熟成期間をとっています。例えば日本でも2000年を超えるヴィンテージをしばしば見かけますが、アンリオ社がリリースしている最新のヴィンテージはなんとミレジメが1998年であるのに加え、プレスティージュキュヴェのアンシャンテルールは1995年なのですから。

悠久の時を経てなお、昔と変わらない時間が漂う地下のカーヴ

シャンパーニュに関する場所で地下カーヴほど神秘的な場所はありません。アンリオも例外ではなく、ランスの地下18mの深さにひっそりと佇む地下カーヴが存在します。肌寒さを感じる気温、そして静寂。そこからは何年、何十年と熟成されるシャンパーニュの息吹が聞こえてくるようです。

ここランスにある地下カーヴは昔ローマ人が石切り場に使用していた穴を広げたことが始まりです。アンリオ家はポメリー、テタンジェ、リュイナール、ヴーヴクリコなど他のメゾンと地下で繋がったカーヴを使用しています。

カーヴ内の気温は年間を通して12度に保たれており、総延長は22kmにも及んでいるのだとか。カーヴ内には番号がふってあり、この番号によって各メゾンの区画が決められています。カーヴ内のいたるところにプレートが貼ってあり、そこにはカーヴに電気を通した人や壁のレンガ職人の名前が記されており、カーヴ内の工事に携わった人々をたたえています。現在はエレベーターなども開通しカートが出入りしていますが、これはその当時は地下カーヴでの作業が重労働だったことを物語っています。

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