02と03という試練と至福
12.11.19 up
シャンパーニュにとって、02年は誰もが祝祭の中にあった年だった。
グレート・ヴィンテージという言葉にふさわしい、自然の恵み、生産者たちと私たちの歓喜。
素晴らしいヴィンテージ・シャンパーニュがリリースされ続け、そのいずれもが、はじけるように、ふくよかで、艶やかで、明るく、豊かな世界を私たちに与えてくれた。
03年は試練の年だった。
自然は厳しい現実、それは人の思い通りにならないという意志。
しかし、この自然が与えた試練は、もしかしたら、造り手たちにとっては敢闘精神を刺激される至福の時だったのかもしれない。
ボランジェが限定盤としてリリースした03は、なにかの冗談かと思ったが、これはまぎれもない真摯な挑戦だった。確かにボランジェとは違うテイスト。だが、挑戦するという意志はボランジェ魂そのもの。モエ エ シャンドンの気鋭ブノワ・ゴエズはグランヴィンテージで03に対する自身のステートメントを強烈に打ちだし、ドン・ペリニヨンは、03だからこその美しさを我々の前に提示した。
試練は至福の時。
そう、02の至福はむしろ造り手にとっては過大な試練だったかもしれない。恵まれ過ぎた自然は、自らのシャンパーニュの凛とした世界観を壊す可能性もはらんでいる。豊か=素晴らしいではない。そこにも作り手の戦いがある。
他のメゾンが送りだす02に負けずに、しかし、世界観を守るという試練。
もちろん、この試練も至福、という逆説。
11月21日から開幕するシャンパーニュの祭典『ノエル・ア・ラモード』。
今回のテーマの一つがこの02と03の世界。
生産者やメゾンの関係者に会場で出会ったら、ぜひ、聞いてみていただきたい。
あなたにとって、試練と至福とは、と。
2007年にリリースされたボランジェ2003.圧倒的な注目からリリース直後に完売。
03はこうした野心作が多い。会場であえる03は…さて。