京都大学、雨の午後
12.12.13 up
ル・テタンジェ料理コンクール。シュワリスタ・ラウンジでは、その日本代表決定の表彰式を毎年、追いかけさせていただいている。
9月に行われた2012年の代表発表の模様。
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課題上、ホテルの宴会部門、レストランが強いという傾向があるこの大会だが、3位に食い込んだのは街場のレストラン。京都 レストラン ラ・コリーヌの来嶋さんだった。近々訪問させていただきます、との約束を果たすべく11月、京都に向かう。
ラ・コリーヌは、京都大学桂キャンパス内というユニークな立地のフレンチ。
京都駅から名前だけを伝え予約。タクシーではなく、学生になった気分で、地下鉄から阪急京都線に乗り換え桂駅へ。そこからバスで20分揺られて桂キャンパスへ。
休日、雨、ということで人影はまばら。冬の入り口の冷たい雨。
本当にここに?広大な桂キャンパスを迷いながら歩く。
でも、それがまた旅心をくすぐられるから、不思議。
お店につき来訪を告げると、来嶋シェフは、驚きの表情のち笑顔。
「お名前聞いて、もしやと思ったんですが、本当に来てくださって…。せっかく来ていただいたので、こちらでおまかせでもよろしいですか?」
嬉しいプレゼンテーション。
シャンパーニュはリストにあるけれど、今日の気分は白ワイン。
冷たい雨ながらもどこかふわっと温かいお店の中で、ソーヴィニヨン・ブラン。
前菜は、タスマニアンサーモンとかぶらのミルフィーユ仕立て。シャキっとねっとりの食感のハーモニーが楽しい。軽やかでコクのあるマヨネーズがアクセント。フレンチビギナーを軽やかな入口から深い所に誘ってくれそうなブライト感。これも京都大学内という立地との親和性か。
パンも学生さんを意識したのかたっぷりサイズ。
もちろん学生さんが気軽に来られるプライスではないが、ゼミの教授に連れてきてもらったりが、ひとつの憧れらしい。近所のニュータウンの方々も常連さんとのこと。
魚料理、かますのポワレ 九条ネギのクーリには、ベルジュラックの豊かな酸味が魅力のやや甘白で。パリッと少し男らしく焼いた皮目とひきしまった肉に、九条ネギのクーリが爽やかな色気を…
最後はお待ちかね。HPでチェックしていた、オリジナルメンチカツ。
じわじわっと広がる肉の甘みと、やわらかい衣が優しさを、デミソースは関西風オーセンティック。主張しすぎない名わき役。ベルジュラックのやや甘白とあわせると、クッキーやタルトのようなテイストが湧き上がってくる不思議…
飾らない、けれど、料理の芯には心地よい緊張感。
旅人にとっては、大学のキャンパス内という日常は、驚くほどの非日常。
ある意味、反則物の立地(笑)。
しかし、ここで毎日、料理の取り組むことは、我慢も必要なことなんだろうと思う。
次回は、夜、シャンパーニュで、の誘惑。
宿泊、という機能こそついていないけれど、心地よいオーベルジュを楽しんだ気分だった。
来嶋シェフと。