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シャンパーニュ地方において拠点となる大きな街は3つ、ということになるだろうか。地図で見ると南のトロワ、真ん中のエペルネ、そして北のランス。中でもランスは人口約19万人、古くから商都として栄え、同時にシャンパーニュの都として多くのヴィジターを迎え入れる、シャンパーニュ地方の玄関口でもある。 ゴシック建築の荘厳さに圧倒されるノートルダム大聖堂。取材時には外観は修復中だったが、一歩中にはいると静寂とは違う張り詰めた静けさが。
だが多くのシャンパーニュ・ラヴァーにとっての世界遺産は、この大聖堂だけではない。おそらく、ランスそのものが世界遺産を認定したくなる対象なのではないだろうか。 名門ルイ・ロデレールの地下セラー。街の下にこれほどの規模のセラーが存在する。これこそがランスという街の凄み。40分ほど歩き回ったあとの『クリスタル』のテイスティングは格別だった。
考えてみればシャンパーニュはある意味でハンデを逆手にとって、その素晴らしい世界を作り上げてきた。限られたぶどう品種で造ることも、ぶどう栽培の北限であることも、普通ならその身を呪うところだろうが、それを逆手にとって他にはない存在を生み出したのだ。ランスがもし肥沃で緑に溢れる土壌で、他の農作物に適した場所だったら…現在、黄金の地として、これほど世界中のシャンパーニュ・ラヴァーを魅了する街にはなっていなかっただろう。ローマ人は建築に適しているという発想でこの石灰岩の城を利用した。それをシャンパーニュ造りに係わる人々は、ミネラル豊富な土壌として、そしてまた天然のワインセラーとして利用した。 一般見学ではテーマパークのような楽しさを提供しているパイパー・エドシックだが、特別に見学が許されたこちらの長い長い歓談を下る地下セラーは神秘的な趣。天空から差す青白い光の先は緑のガーデン。こちらも見学のあとのテイスティングは…至福。 |