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『シャンパーニュ』。
この名称は、常に模倣の危機に晒され続けてきた。 今回の巡礼を見守ってくださったプレス担当のフィリップ・ウィブロット氏。C.I.V.Cの世界的な活動についてレクチャーいただいた。 そこでフランス国内はもとより、世界中でシャンパーニュを守り、広げていく活動をしているのが『Comite Interprofessionnel Du Vin De Champagne』(シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会)、C.I.V.C.だ。エペルネに本部を置き、日本など世界に事務局を設置しているこの委員会に、シャンパーニュ滞在中大変にお世話になった。それは我々が想像していたよりもはるかに手厚く、そして熱心なものだった。サロン/ドゥラモット、パイパー・エドシック、ルイ・ロデレールへの訪問をアレンジしていただき、またランチ、ディナーを通じて食とシャンパーニュ、シャンパーニュの文化を体感させていただいた。我々が自由に動き回る日は、それはそれで意義深い体験だったが、C.I.V.C.の方々と過ごした時間は、身が引き締まり、シャンパーニュに対して真剣に向き合う素晴らしいものだった。 C.I.V.C本部での教育的ディギュスタシオン。学術的、地政学的なアプローチが新鮮だった。 特にプレス担当のフィリップ・ウィブロットさんの熱心なガイドに、強い感銘を受けた。度重なる予定変更にも辛抱いただき、最初のランチとなったランスの星付きレストランでの会食、シャンパーニュの豊かな文化についての熱弁に引き込まれた。鴨のタルタルとポメリーの組み合わせ。日本でももちろんこの組み合わせを楽しむチャンスはあるだろう。でも、やはりこの地で、このレストランで味わうマリアージュと、フィリップさんの情熱的な、しかし物静かなトーンでの言葉のひとつひとつが身体に染みた。デセールと甘口シャンパーニュの組み合わせは、どの会食でも必ずアレンジされた。これも、C.I.V.C.ならではの豊かな提案だとうならされた。 ディギュスタシオンを担当されたC.I.V.C.のワイン研究員、ヴィオレーヌ・プリヴェさん。 シャンパーニュはやはり素晴らしい。それは他の地域のスパークリング・ワインと比べての優劣で語っているわけではない。正直にいえば、またシュワリスタ・ラウンジ編集長という立場を考えずに言うなら、お気に入りのスパークリング・ワインはいくらでもある。デイリーでわいわいとやるなら南オーストラリアにとても楽しいスパークリング・ワインがある。独特な乾き具合とでもいうのだろうか…スペインのカヴァに美しい太陽を思い浮かべることもある。最近はドイツのイメージを一新してくれた辛口の見事なスパークリング・ワインにも出会った。日本でも、シャンパーニュ方式ではない「日本食」にあうスパークリング・ワインの造り手にお会いする機会もあった。ではなぜ、その中にあって、シャンパーニュは素晴らしいのか。きっと、僕と仲間たちは、それを伝えていく一端を、この滞在で、勝手にかもしれないけれど担うことになったのだろう。シュワリスタ・ラウンジの記事、そして活動全てが、その答えを紐解き、伝えていく作業。 教育的…といっても一方的なものではなく、活発な意見交換も。素直な意見をぶつけさせていただいた。 11月、新宿。優秀なオートクチュール・シャンパーニュの造り手であり、この連載にも登場した『ローズ・ド・ジャンヌ』の若き当主、セドリック・ブシャールと、イタリアン・レストランで食事を共にした。もちろんワインのオーダーは緊張する。ロンバルディア州の白、カンパーニャ州のアリアニコ100%の赤ワインを楽しそうに、興味深そうに確かめるセドリック。最初の乾杯はシチリアのスプマンテだった。セドリックは言った。 ブラン・ド・ブラン、3種のセパージュ、そして甘口という3種類で、それぞれの個性をじっくり考えながらの1時間。 |