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快楽ライター旅情派
編集長・岩瀬

1846年からの贈り物

13.5.8 up

ブルゴーニュのなで肩、ボルドーのいかり肩、シャンパーニュの厚み、すらっとしたドイツ風…
ワインボトルの形状はいろいろあるのですが、そこには単に見た目だけではないいろいろな想いが込められています。

生産者にとっては長い伝統の中で、それを変えることは大変なこと。
こだわり、成功体験、マーケティング…いろいろな要素がそこにはあるわけで、
単にその場その場のファッション性や思い付きで変えられるものではありません。

5月1日。長い歴史を持ち、樽、マグナム熟成、家族経営、自社畑の割合が多いなど
数々のこだわりを守り続けている『ボランジェ』社のジェローム・フィリポン社長を迎えての食事会が
グランドハイアット東京フレンチキッチン内シェフズテーブルにて行われました。
そこでお披露目されたのが、新ボトルでした。



スペシャル・キュヴェ(写真奥)とNVロゼ(写真左から2番目)のボトル形状とグランダネ2004(写真右から2番目)の形状が違います。

スペシャル・キュヴェとロゼは現行型より首のあたりが柔らかくほっそりとシェイプされ、グランダネはこれまでのよく知られたボランジェの形状です。
なぜこの2つの差が出ているかというと、新しいデザインがスタートしたのは09年。
スペシャル・キュヴェとロゼはこの年に瓶詰されたものが今年いよいよリリースされたのですが、
さらに熟成期間が必要なグランダネは、08年ヴィンテージからが新ボトルとなります。

では、なぜ頑固一徹とも思えるボランジェ社はボトルデザインを変えたのか?
フィリポン社長が明かしたのは、「ボランジェのこだわりのひとつであるマグナムボトルの品質に近づけたい」との想い。

シャンパーニュの場合、マグナムの方が安定感、円熟味とも優れていて
本来の味わいが楽しめる、という傾向もあります。
マグナムというとどちらかというとパーティ的、シャンパンファイト的に見られがちですが実は品質面でこそその真価が現れる。
ネックの部分を細めることで、ワインが空気に触れる面積を狭め、よりマグナムが持つワインとボトルの相性に近いものが表現できるとのこと。

ここでユニークなのは、例えば最新の計算式による近未来スタイル、のようなデザインチェンジではなく、
もともと1846年と、19世紀半ばに使われていたシェイプを復活させた、ということ。
こだわりの伝統の中に現在と未来へのヒントが隠されていた…というのはなんともロマンティック。

こうした努力や変革が、長い歴史の中ではいくつもためされているんでしょうね。

一見で感じたのはなんともセクシーなフォルムだということ。
今までのフォルムがお好きな方はもちろんいらっしゃると思いますが、
『ジェームズ・ボンドが愛するシャンパーニュ』ボランジェらしい男っぽさに、
抑制された艶が加わったようにも思います。
その見た目はもちろん、スペシャル・キュヴェ自体も、強い男性から強くてしなやかな男性。
ぐいっと腰を引き寄せてくれるあのセクシーさがありながらも、髪の毛はさらっと、香水もユニセックス…という妄想。
上級ラインアップであるグランダネ08は、その出来に加えて新ボトルとの味と雰囲気との相乗効果も楽しみです。

ジャケ買いはもちろん、ボトルのフォルムにも注目してみると、
またシャンパーニュは楽しくなりますね。

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編集長・岩瀬

女好きだけど泡はガシッと男っぽいものを愛飲。太陽は獅子座で月は牡牛の、若旦那型快楽主義者にして変幻自在なライター&編プロ社長。

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