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sH レポート
業界向けの試飲会やイヴェントの模様、インポーターやメゾンの話題などを、シュワリスタ視点でレポートします
Vol.26
11.8.10 up

『ローラン・ペリエ』
輸出部長インタビュー

text: 岩瀬大二(sH編集長)  
photo: 藤田礼子 / 水口海 / 15代目六兵衛
取材協力: サントリーワインインターナショナル株式会社

sH エクスクルーシヴ インタビュー

【ローラン・ペリエ概要】
7つのラインアップ、それぞれの個性の表現に徹底的にこだわったアッサンブラージュ、契約農家との長年のリレーションに見られる大規模メゾンにもかかわらずどこか素朴な家族経営的雰囲気を持つメゾン『ローラン・ペリエ』。ロイヤル・ウェディングで登場するなど英国、アメリカなどで高い知名度を誇る同メゾン。来年の200周年を前に、いよいよ日本でもその存在価値を高めています。今回は、1週間にわたって様々なイベントを開催した「ローラン・ペリエ ウィーク」で来日した、知日派の輸出部長、ジャン・クリスチャン ドゥ ラ シュヴァルリー氏(以下JCC)にお話を伺いました。

ローラン・ペリエ ウィークを終えての率直な感想をお聞かせください。

JCC: その前にひとつよろしいでしょうか。この度は、訪日予定だった醸造責任者、ミッシェル・フォコネが直前になり訪日できなくなったことを、皆様にお詫び申し上げます。私自身、何年も前から日本へ来て欲しいと働きかけてきて、今回は待望の…という状況だったのですが、家族の健康上の問題で、どうしてもフランスに留まらなければならなくなりました。状況が落ち着き次第、改めまして、最高醸造責任者の訪日についてお知らせできればと思います。今回のインタビューは、輸出部長の私がお答えさせていただきます。

それでは、今回のインタビューでは、特に「日本におけるローラン・ペリエ」という視点からお話をお伺いいたします。ジャン・クリスチャンさんは、大変日本にお詳しいとお聞きしていますが。

JCC: はい。80年代からはじまって、90年代、00年代とそれぞれ2〜3年、日本で生活しています。日本のお客様は、シャンパーニュに対して味がわかる、成熟された方々です。確かに、売上的には注目され、急上昇しているエリアもありますが、知識的なもの、シャンパーニュに対する思いなど、やはり日本は素晴らしい。そこで認められたいと、どのメゾンも願っていますが、ローラン・ペリエも同様です。ロイヤル・ウェディングでチャールズ皇太子に指名された際に英国では特に驚きなく伝えられました。それだけ「英国ではロゼと言えばローラン・ペリエ ロゼ」というような認知がされているのですが、大切な国、日本でももっとローラン・ペリエを広めたいですね。

現在の日本の市場をどうとらえられていますか?

JCC: 最近のシャンパーニュへの興味関心、理解の深さに感心しています。例えば、ブリュットL.Pは刺身、てんぷらなど繊細な和食に、ロゼは懐石、赤味の刺身などと相性が良いのですが、この説明をして最近の日本では、受け入れてくださいます。私は97年からローラン・ペリエで日本を担当していますが、以前は、和食とのマッチングの説明は難しかった。「最初はとりあえずビール」でしたから。今はワインを勉強する学校も多い。例えば、ウルトラ・ブリュットの話をしても、単にドザージュが低くてドライでライトということではなく、完熟したブドウの本来持っている素晴らしさを味わえることに興味を持ってくださいます。

改めまして今回のローラン・ペリエ ウィークを通して感じたことをお聞かせください。

JCC: シュワリスタ・ラウンジの皆さんにご参加いただいた3つのイベントにしても、ソムリエ協会でのセミナーにおきましても、とてもいい手ごたえを感じています。ローラン・ペリエの醸造哲学、品質へのこだわりは、ここ日本においても受け入れてくださる土壌があることを強く認識しました。ローラン・ペリエは来年200周年を迎えます。シャンパーニュの本当の価値をご存じでいらっしゃる日本の皆さまのためにも、来年はどんどん仕掛けていきたいと思います。

ローラン・ペリエを通じて、ぜひ、東京、日本にポジティヴなメッセージを送っていただきたいと思います。

JCC: 今回は醸造責任者の家族の健康上の問題以外にも、3.11という事態があり、当主のアレクサンドラも最後の最後まで、「お祝いのイメージが強いシャンパーニュ、このようなイベントを開催すべきかどうか」と悩み続けていました。しかし、私自身は予定を変更せず日本に来て、この1週間を過ごせて心の底からよかったと思っています。日本は強い。そして、今、もう一度がんばっていこう、元気になっていこうという大きなうねりを感じました。私たちはシャンパーニュで皆さんを応援したい。他のメゾンやシャンパーニュ関係者の皆さんと一緒に…ローラン・ペリエはその先頭に立って、その姿勢を見せたいと考えています。

Laurent-Perrier『Wonderful experience』

冒頭でもご案内したように、今回のジャン・クリスチャン氏の来日中に行われた『ローラン・ペリエ ウィーク』各種イベントのうち、3つのイベントにシュワリスタ・ラウンジのメンバーが参加しました。様々な店や才気あふれるシェフ、経験値の高いソムリエとのコラボレーション、それぞれに参加された人々がつくる空気感…ローラン・ペリエの提案を、様々な角度から捉えることができました。シュワリスタ・ラウンジは今後もこのような「ワンダフル・エクスピリエンス(素敵な体験)」を通じて、メゾンの世界観に触れ、紹介していきたいと考えています。

Laurent Perrier × Restaurant-I

5月17日 レストラン・アイ

今、熱い注目を浴びるシェフ、ケイスケ マツシマ氏が手掛けるRestaurant-Iでのランチ・イベント。テーマは『シンプル×効果的』。ロゼ、ブリュットL・P、そしてアレクサンドラ・ロゼ。改めて感じたことは、「一貫したストーリー性」。あのロイヤル・ウェディングの世界はいかにして生まれたのか。マツシマシェフ、石田ソムリエによるローラン・ペリエ体験、あの日に想いを馳せるドラマを、シンプルなしつらえの中で構築されていたようです。

15代目六兵衛によるレポート
http://www.shwalista.jp/talk/detail.html?talkcode=804
http://www.shwalista.jp/talk/detail.html?talkcode=805

【レストラン・アイ コメント】
Restaurant-Iとローラン・ペリエのマリアージュが織りなす一貫したストーリー。その根幹にあるのは「シンプルさ」。素材の良さはもちろん、絶妙の温度、塩加減、色遣い、そしてフランス料理の原点であるソースという存在の尊重でした。シンプルだからこそ際立つ華麗さ。キャサリン妃のウェディングドレスにも共通しますね。

Laurent Perrier × Vionys

5月18日 シャンパンバー ヴィオニス

シャンパーニュのエヴァンジェリストとしても名を馳せるオーナーソムリエ氏は、ローラン・ペリエとは親しい間柄で深い信頼関係で結ばれているとのこと。メゾンを知り尽くしている氏のプレゼンテーション、ドゥミセックまですべてのラインアップをテイスティングできる貴重な機会とあって地方から駆けつける方も。純粋にローラン・ペリエそのものの世界に浸る一夜でした。

水口海によるレポート
http://www.shwalista.jp/talk/detail.html?talkcode=806

Laurent Perrier ×La Tour d'Argent

5月20日 ラ・トゥール・ダルジャン

この夜は、シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ兼ローラン・ペリエ アドバイザーのフィリプ・ソーゼットさんによる3種類の解説と、シェフソムリエの谷宣英さんを中心に開発された特別メニューで楽しむ4種類の連携プレーで、全7種類のローラン・ペリエを頭と胃袋の両方で堪能。ウルトラ・ブリュットにおけるマリアージュの考え方など、発見と冒険に溢れたディナーとなりました。

藤田礼子によるレポート
http://www.shwalista.jp/talk/detail.html?talkcode=809

【谷ソムリエ コメント】
前半のセミナーでは、メゾンのスタイルがわかりやすいスタンダードの『L-P』、製法にこだわりを持つ『ロゼ』、プレスティージュの『グラン シエクル』の3種類を選びました。後半のディナーでは、シェフと一緒にテイスティングしながらワインに合う料理を考えたのですが、ローラン・ペリエは各々に個性が強いこと、またシャンパーニュ地方に郷土料理が少ないことから、シャンパーニュが持つ風味に合わせるよう努力しました。

sH

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