シャンパーニュ | シュワトーク

シュワリスタ・ラウンジを支える「TCS関係者」がありのままに綴る、ここだけのウラ話や、日々のシャンパーニュの楽しみ方

シャンパン・エヴァンジェリスト
藤田礼子

ジャック・セロスリューディシリーズ

11.1.5 up

2011年、東京でのシャンパーニュ始めは、私が愛してやまない『ジャック・セロス』からスタート。友人夫妻がパリから大切に持ち帰られたセロスの新作、『リューディ』をご一緒させて頂くという夢のような幸運に恵まれました。『リューディ』シリーズのリリース情報は昨秋から耳に入ってきていたのですが、日本への入荷数は50本にも満たないと聞いて半ば諦めていただけに、本当に感謝感激！！

希少なセロス・ファミリーがずらりと並んだマニア垂涎の写真。
左から、『リューディラ・コートファロンコントラスト』、『リューディレ・キャレル』、『1980年代デゴルジュ』、『ブラン・ド・ブラン1990』、『オリジン』

究極のテロワール表現者アンセルム・セロス氏の新しい挑戦は、シャンパーニュ地方の6つの地区にある単一区画の畑の個性を表現することでした。その名も『リューディ（Lieux-Dits）』。昨秋、まずはアイのラ・コートファロンとル・メニル・シュール・オジェのレ・キャレルの2区画をリリース、2012年には全ての地区のシャンパーニュが発売される予定とのこと。

『リューディアイラ・コートファロンコントラスト』
コントラストの後継となるラ・コートファロン。アンセルム氏が、リューディシリーズで何を目指したかを体感したい人が最初に飲むべき一本だと思います。コントラストは、アイとアンボネイの2地区のワインから造られていましたが、今回からアイの単一畑ラ・コートファロン（0.25ha)のピノ・ノワール100%で造られています。2003年をベースに、2004、2005のワインをブレンドし、ヴィンテージの差異を超えた畑の味わいが表現されています。ドザージュは、2g/Lのエキストラ・ブリュット。個人的に、肉厚で荒々しさが感じられるコントラストはあまり好みではなかったのですが、これは本当に素晴らしい。暗がりでも明らかなほどオレンジがかった色調はまるでロゼのよう。柔らかな果実味、清らかなミネラル、澄みきった美しい味わい。アイ村のセロスの畑は、たしかボランジェの隣に位置していたはずですが、そんなピノをシャルドネ使いの神が操るとこうなるか！と感じる感動的な一本。2011年のマイ・ベストシャンパーニュの１本になること確実です。

『リューディメニル・シュール・オジェレ・キャレル』
シャルドネの聖地コート・デ・ブラン地区、クリュッグのクロ・ド・メニルから西に200m、10m高い場所にある単一畑レ・キャレル（0.4ha)のシャルドネ100%から造られています。2003年のワインを使用。ドザージュ2g/Lのエキストラ・ブリュット。デゴルジュは、2010年1月26日。香りも味わいもまだ硬く閉じていますが、生命力の強さを感じずにはいられません。酸とミネラルとの美しい一体感、ほのかな果実の甘さ、素晴らしいポテンシャルを秘めています。ミレジメ1996がようやく開き始めたことを考えると、最低でもあと2～3年は寝かせたほうが良いと思います。素晴らしく崇高な味わいに変化することは間違いないでしょう。

『オリジン』
シュブスタンスの前身である『オリジン』もこの日初めて口にさせて頂きました。デゴルジュは1997年。豊かな樽香、濃く深い印象が、時間の経過と共に変化。アヴィーズのシャルドネが持つみずみずしさが顔を出します。このエチケットの影絵は、セロスご夫妻の姿だとか。愛を感じる素敵なデザイン。

この日ご一緒させていただいた皆様に心からの感謝を。
進化を続けるジャック・セロスから、今年も目が離せそうにありません。今年こそ、アンセルム・セロス氏から直接お話を伺えるチャンスが到来することを願っています☆