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昨年末、銀座。浮世離れした美しいグラスの世界に彩られた、メゾンエルメスのショーウインドウの風景を覚えている人もいるかもしれない。そのデザインは手掛けたのは、今回紹介する写真家の桑島秀樹である。桑島は91年にコマーシャルスタジオを退社し、以降フリーの写真家として活躍。パルコアーバナート#2(93年)の佳作入選や東京国際写真ビエンナーレ(97年)の入選、著名コレクターへの納品など、着実に実績を残している。エルメスのディスプレイと同様、緻密な計算に従いグラスをシンメトリーに組み立て、まるで曼陀羅のように荘厳な世界を生み出すモノクロの写真作品を代表に、桑島の表現は生の尊厳から社会批判にまで至るが、どんなテーマにおいても、彼が観る側に伝えたい想いは、暴力的なまでに極めて美しい迫力をもって現れる。たとえモノクロであっても作品から溢れ出てくる色艶は、作品を構成する存在が持つ美しさを確実に捉え、それを繋げる桑島の技量ゆえであり、その表現力をもって、さらなる飛躍が期待できる作家である。
Horizontal 002©Hideki KUWAJIMA courtesy Roentgenwerke AG, 2008-9
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