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前田エクストラ・ブリュット
シャンパーニュを取り巻く話題をちょっと? かなり? 辛口で切り取ります
前田行紀
シュワリスタ・ラウンジではシャンパーニュ・アーカイヴのデータ作成を担当。豊富な知識と旺盛な探究心で、「シャンパーニュの求道者」の異名を持つディープ・シュワリスタ。このコラムでは泡業界を愛と俯瞰、両面で斬っていく。
Vol.6
飲み頃
07.4.10 up
桜の時期も終わりを告げ、季節は本格的に春へ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。筆者は先日、お花見でシャンパーニュを楽しみました。シャンパーニュはレストランやお祝いの席でいただく機会が多いものですが、屋外で楽しむシャンパーニュもまた、一味違った雰囲気でいいものです。

さて、今回はシャンパーニュの飲み頃についてお話させていただきます。

日本人は特にいただき物を取っておく習性があるように思われます。お歳暮・お中元などでいただいたウイスキーやブランデー、ワインなどを大切に飾り棚に入れてある家庭を良く見かけます。確かにウイスキーなどのハードリカーであれば、常温で長期保存が可能です。しかしシャンパーニュは醸造酒の一種。ワインや日本酒同様、いわば「まだ生きているお酒」。

さらに、ワインとは異なりシャンパーニュは法的規制により、ノンヴィンテージ(以下NV)で最低15ヶ月以上、ヴィンテージ・シャンパーニュで3年以上の瓶内熟成が義務付けられています。有名メゾンではこれ以上の熟成期間を取っているところも珍しくありません。つまり、シャンパーニュは、市場に出回る頃には既に数年の熟成期間を経ている飲み物だと言えます。したがって、あまり家で置いておくのは考え物。
では入手したシャンパーニュはいつ飲めばいいのでしょうか。NVのものなら一般的にはリリースした直後が飲み頃。NVはメゾンが毎年リリースする最もスタンダードなキュヴェで、造り手が自分のメゾンのカラーに必要な熟成期間を経てリリースするのが一般的です。つまり造り手が飲んでほしいと思われる時期にリリースされるわけです。というわけでリリース後すぐ飲むのがベスト、ということになります。しかし、中にはドサージュ後すぐに出荷するメゾンもあります。その場合、シャンパーニュとドサージュされた糖分が上手く融合していないのか、やや糖分が浮いたように感じられる物もあります。そう感じた場合はしばらく置いてから飲むほうが良いでしょう。

ではヴィンテージ・シャンパーニュはどうでしょうか? ヴィンテージ・シャンパーニュは様々な楽しみ方が出来ます。基本的にはブドウの出来の良い年のみ作られるのですが、NV同様一定期間熟成されリリースされます。こちらもリリース直後から飲み頃と言えますが、それよりも長く瓶熟成された(中には10年以上瓶熟されたものも)ヴィンテージ・シャンパーニュは良質なワインの古いヴィンテージのような楽しみ方ができます。シャンパーニュと言えばフレッシュで若々しい印象をもたれている方がまだまだ多いのですが、十分にポテンシャルを持ったヴィンテージ・シャンパーニュならば、まるで高貴な白ワインのように、熟成させて楽しむ方法もあります。また誕生日年のヴィンテージを味わったりと多彩な楽しみ方が可能です。このようにヴィンテージ・シャンパーニュはNVとは違った楽しみ方がありますし、飲み頃も変わってきます。

そうそう、少しマニアックな楽しみ方ですが、同じNVシャンパーニュの片方を何年か寝かせて、フレッシュなものと比べてみるのも面白いかもしれません。

あなたの家に無用に長く置いているNVシャンパーニュはありませんか? 飲み頃を考えて早めに飲んであげる。それがシャンパーニュにとっても幸せなことでしょう。
SH

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