2008年は始まったばかりですが、シャンパーニュの生産者が続々と来日しています。
それに伴い、私自身も、さまざまな生産者からお話をうかがう機会も多いのですが、やはり世間で注目されている生産者は、どこもこだわりを持って丁寧に作っているという印象をうけます。
今年は1月にシャンパーニュの大幅な値上げがおこなわれました。
ここ近年のシャンパーニュブームはシュワリスタにとって歓迎すべきことですが、ユーロ高、原油の高騰、ロシア・中国経済の発展によるワイン消費量の増加などで、シャンパーニュの値段も確実にあがりつつあります。今回はそんな中だからこそ、購入価格だけで選ばない美味しいシャンパーニュを探すことをテーマにしてみましょう。
まず、「高いお酒ほど美味しい!」、または「高いお酒は美味しくて当たり前」と思われている方がまだまだ多くいるように感じますが、これはシャンパーニュに関していえば全てあてはまるとは限りません。
それはなぜか。
他の酒類(たとえばビールやスピリッツなど)は世界各国様々な生産地域で造られています。そのため、各地の事情などにより品質にばらつきがあります。しかしシャンパーニュはシャンパーニュ地方で、規制に則って作られたものだけが名乗ることのできる呼称です。つまりシャンパーニュはある一定以上の品質基準を持っているといえるでしょう。つまり単純に、安いからおいしくない、ということはありえないのです。
もうひとつは、古いヴィンテージなどは日本では重宝がられていますがフランスでは日本ほどこだわりを持たれていません。それは古いからおいしい、という単純な図式ではないからです。古いヴィンテージは味そのものよりも、むしろその希少性において、造り手ではなく、市場において値段があがっていきます。つまり、これも高いから単純においしいと、ということではないのです。
さらに、シャンパーニュの本質はブレンド(アサンブラージュ)にあります。ヴィンテージのシャンパーニュや最近ではモノ・クリュやモノ・セパージュのシャンパーニュも見かけるようになりましたが、これらは希少であり、NVに比べて高く設定がされていることが一般です。しかしリザーブワインを使い、3種類のぶどうをブレンドして作られるNVのほうが複雑味や奥行きがある事も大いにありえるのです。
こう考えていくとシャンパーニュ選びに幅が出てきます。「高いシャンパーニュ」=「美味しい」という図式は必ずしも成り立たないということです。ですから、高いシャンパーニュ=美味しいシャンパーニュとは限らないし、高いシャンパーニュ=自分が美味しいと思えるシャンパーニュ、ではないのです。
|