Home > 連載 > 前田エクストラ・ブリュット「料理とのマリアージュ」
前田エクストラ・ブリュット
シャンパーニュを取り巻く話題をちょっと? かなり? 辛口で切り取ります
前田行紀
シュワリスタ・ラウンジではシャンパーニュ・アーカイヴのデータ作成を担当。豊富な知識と旺盛な探究心で、「シャンパーニュの求道者」の異名を持つディープ・シュワリスタ。このコラムでは泡業界を愛と俯瞰、両面で斬っていく。
Vol.16
料理とのマリアージュ
08.5.26 up

こんにちは、一度はぶり返した寒さもひと段落つき暖かさが戻ってきた、そんな日に原稿を書いています。しかしまたすぐに梅雨の季節に突入。じめじめした梅雨の時期を乗り切るなら、やっぱりブラン・ド・ブランや、ロゼのシャンパーニュで。

さて、シュワリスタ・ラウンジを読んでくださっている皆さまはご存知のことかもしれませんが、私はエクストラブリュット以外に、sHレポートの担当をしています。そのため、幸いなことに様々なシャンパーニュ生産者とお話させていただく機会があり、改めて考えさせられることが多くなりました。 その中に「食事とのマリアージュ」があります。 最近でこそ、シャンパーニュとのマリアージュを記載した雑誌なども売られるようになり シャンパーニュ、イコール食前酒というイメージが徐々に崩れつつあると思いますが、これは残念ながらまだシャンパーニュ好きの中での話。

日常シャンパーニュに触れる機会の無い方々や、少し以前に出版された書籍などには やはり「シャンパーニュはアペリティフに最適」との認識を数多く見かけます。これは日本に限ったことではなくフランス国内でも、パリなどの中心地を除いては、やはりシャンパーニュを食前酒と捉えることが多いようです(さすがに本場シャンパーニュ地方は事情が違いますが)。

では、実際にシャンパーニュと料理のマリアージュはどうなのか?ワインと料理のマリアージュは話題に上りますが、やさしく繊細なニュアンスをもつシャンパーニュは、赤ワインなどに比べ料理と喧嘩することが少なく、実はワインの中では一番ミスマッチが少ない飲み物なのです。

例えば、寿司とワインの相性は悪い!という話をよく聞きます。しかし寿司やてんぷらとシャンパーニュの相性は一般的に良いのです。もちろん、ワインでもあうものはありますし、寿司といってもたくさんの種類があり、またシャリの甘さによってはシャンパーニュの銘柄によってはあわせにくいものも当然あります。このあたりの判断はなかなか初心者には難しいので、レストランなどではソムリエに、和食、お寿司の場合はお店の方と相談するのが良いでしょう。

私が提案したいことは、この料理にはシャンパーニュは合わない!と決め付けるのではなく、様々な食材とシャンパーニュのマリアージュを楽しんでいただきたい、ということ。きっと新たな発見が出来ると思います。

最後にシャンパーニュとちょっと合わないなと思ったときの裏技を。ボトルで頼んだけれどちょっとあわないというとき、そのまま残すわけにはいかない…そんなときシャンパーニュは基本的に酸味、またはさわやかな香気のあるものとの相性が良い傾向にありますので、洋食であればレモンを絞ってみたり、和食ならポン酢を加えたり、寿司なら醤油でいただくのではなく塩で頂いてみると良いでしょう。もちろんこれは緊急避難策ですが…。

メゾンの当主や造り手達も、多種多様な食事と楽しんでほしいと望んでいます。シュワリスタ・ラウンジでは様々な食事とシャンパーニュを合わせていくことを提案していますし、これからも提案をし続けていきます。

それでは今宵も良い泡を

SH

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