NMは徹底した品質管理、そして最新の装置を用意できますが、では、小規模な造り手の多いRMはどうなのか。確認すべく昔ながらの方法でデゴルジュマンを行っている「アンリ・ビリオ」を訪問。当主の娘であるレティシアさんに作業場を見せていただきました。
「アンリ・ビリオ」はア・ラ・ヴォレーと言われる昔ながらのデゴルジュマン方法を行っています。現在のソムリエ教本などには「デゴルジュマンは-20度塩化カルシウム溶液に漬け澱を凍らせて……」という記述がありますが、レティシアさんによれば昔はそうではなかったとのこと。澱を瓶口に集めてシャンパーニュの気圧で澱を飛び出させ、その後手早くコルクで栓をするという方法です。
この過程を行う装置を見せていただきましたが、ここでも手作業の機械(機械というのもはばかられるほど単純な構造)には液面を一定にする為のシャンパーニュを追加する管が設けられていましたレティシアさんには、シャンパーニュのキャップシールはなぜ大きいのか? と質問をしました。答えは…「分かりませんね(微笑)」とのことでした。
しかし今回数社訪問をして分かったことは、現在において液面の不揃いを隠す理由でキャップシールが大きいわけではない、ということです。ではなぜ大きいのか? これは多くの方が語っていたように、昔は設備等も現代のように整っておらずやはり液面が不安定だったのでしょう。それを隠す為にキャップシールが大きくなり、その慣習が今まで残っているのではと…。まあ、それが正しいかどうかは別としても、この様な他愛もない事を考えながら飲むシャンパーニュも、なかなか良いのではないかと。
それでは今宵も良い泡を。
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